広島地域と金融機関の事象を学習

広島民商では、今年度学習に力を入れていこうと様々な学習会を開催しています。

第3弾として、6月12日、企業実務研究所の伊藤雅次さんを講師に迎え、広島地域と金融機関の事象について学習し、オンラインも含めて36名が参加しました。

地元広島について

地元広島地域では人口が流失しているおり、2021年の住民基本台帳人口移動報告によると転出者数が転入者を上回る「転出超過数」が△7159件と都道府県で最多となっている現状を紹介。

そうした中で、金融機関の事象がどうなっているのかを学習していきました。

金融機関の事象

上記の金融行政の流れを見ると、行政が金融機関に自主性を求める政策をとってきており、地方の金融機関の将来は厳しい状況にあるとの事。日銀が発表した金融システムレポートでも10年後には地銀の約6割が最終赤字に転落するとの試算結果が示されています。再編も選択肢となっており、九州など福岡銀行1強となりつつあるところでは融資の審査で金融機関が強い立場を持つことになります。

 広島の場合は、広島銀行、もみじ銀行、広島信用金庫などでシェアは分かれており、今はそれほど金融機関の立場は強くない状況にあるため、競争を利用して交渉することもできる状況だということです。

2021年の銀行法改正で業務範囲が緩和され、金融機関も存続のために、自行アプリやITシステムの販売、マーケティングやコンサルティングなど業務範囲を拡大しているのが現状となっています。

保証協会へ直接相談も選択肢に

 中小業者が金融機関で融資を受ける際に公的な保証をしている「広島県保証協会」の債務残高なども紹介。債権者が返せなくなった場合の代位弁済の仕組みについても学習。通常の制度での責任割合は80%を保証協会・残り20%は金融機関が被るが、コロナ融資など政府保証100%の制度では金融機関はリスクゼロとなるので、金融機関の審査は緩くなる傾向にあると話されました。

保証協会は「金融機関への保証人」という業務以外にも経営改善サポートや創業支援、事業再生支援などの各種支援も行っていることを紹介。保証協会から保証を得られればどの金融機関でも借入が可能なことから、融資を受けたい際は、まず保証協会と会うのも有効と教えていただきました。

参加された方からは「知らなかった事ばかりで勉強になった」と好評でした。

最近の金融行政の流れ

1997~2004年 北海道拓殖・山一証券破綻、主要15行に公的資金注入、大手行の整理統合が進む

2008年 リーマンショック

2009年 中小企業金融円滑化法施行

2013年 日銀の金融緩和(後にマイナス金利)

2016年 金融機関の自主性を尊重する検査へ

    (金融庁の検査方針が変更)

    金融検査マニュアルの見直しに着手

2020年 新型コロナウィルス発生