『平和を嗅ぎ分けよう!』アーサー・ビナードさん講演会

広島北民商も参加する「ストップ! 戦争する国づくり 安佐地区市民アクション」は、3月30日(日)に佐東公民館ホールで講演会「ホンモノの平和を嗅ぎ分けよう!」を開催しました。
詩人のアーサー・ビナードさんを講師に迎えたこの講演会には、140名もの方が来場し、関心の高さがうかがえました。講演会後には、アーサーさんも参加し、安佐地域に「9条の碑」を建立するためのキックオフ集会も開かれました。広島北民商からは、婦人部の中島部長をはじめ多くの婦人部員さんや、高竹会長、久村副会長らも参加しました。

その「平和」は、私たちが望む「平和」と同じもの?
今回の講演のテーマは「平和を嗅ぎ分ける」でした。アーサーさんは、「平和」という言葉が多様な場面で使われていることに言及しました。
広島の平和公園や平和記念資料館で用いられる一方で、パールハーバーの資料館でも「平和」が語られ、「平和の維持のために核兵器が必要」といった主張にも使われていることを指摘。
「私たちが望む『平和』と同じものなのか、慎重に見極める必要がある」と語りました。
また、「戦争」という言葉は具体的で理解しやすいのに対し、「平和」は抽象的で捉えにくいと述べました。「戦争映画」というジャンルはあるものの、「平和映画」はほとんど存在しません。また、「戦争体験」を語る機会は多いものの、「平和体験」を語る機会は少ないといった現状も説明されました。

さらに、自身が翻訳した絵本を紹介しながら、広島と長崎に投下された原爆についても言及。
広島の原爆投下が最初という認識でしたが、アーサーさんは長崎と同じ型の爆弾投下が何度もおこなわれていたことも示し、原爆投下が戦争終結のためではなく、今後100年、200年先も世界で優位に立つためのデモンストレーションだったことを説明しました。アメリカ国民でさえ知らされていない情報操作の実態を語り、「本質を知ることが重要である」と訴えました。

現代でも、不都合な事実から目をそらさせられている
情報操作については、戦時下の世界各国でおこなわれてきた事例を紹介。ナチス政権下のドイツでは、創造的な教育や芸術を国内で排除する一方で、政権側はそれらの芸術作品を自分たちのために大切に保管していたことを紹介。同様に、日本でも「英語は敵性語だから使用禁止」としながら、軍幹部には英語教育を受けさせ、一般国民から高度な教育や情報を奪うことで思い通りに動かしたいという権力側の狙いがあったことなど、戦前に作られた紙芝居「鉄のこびと」も紹介しながら語られました。

地球環境に「核兵器」は無関係?
紹介された紙芝居「鉄のこびと」は、真珠湾攻撃前にすでに作られていたものだそうです。
子どもたちが「お国のために」と家中の金属を集め、軍に差し出すことで褒められるという内容です。
その頃アメリカではすでに核兵器の開発が進められていたそうで、開戦前からすでに負けが見えるほどの差があったにもかかわらず、子どもたちを愛国精神があれば勝てるとだましながら、事実は隠されていたと言います。
アーサーさんは、現代の子どもたちも同じように「これは良いことだ」と刷り込まれ、本質から目を逸らされていることがあると指摘。
その一例として、環境問題に関わるSDGsの取り組みを挙げました。日本では広く浸透していますが、アメリカなどでは認知度が低いそうです。
その背景には、地球環境や人類に深刻な影響を及ぼす「核兵器」の廃絶、通常兵器の規制といった本質的な問題が含まれていないこと、そして国連でのその決定権を核保有国が握っていることがあると解説されました。日本ではプラスチック削減やビニール袋の廃止などが強調されているものの、核兵器などの問題の本質から目を逸らされているのだと、言われて初めて分かったこともありました。

アーサーさんは、広島で暮らし、核兵器や核汚染の問題に向き合う中で、一方ではアメリカ国民や世界各地の住民も、情報を知らされないまま核実験などの影響を受け続けてきた現実を実感してきたと語りました。「国家がおこなう政策や情報管理には、国民の目をそらすからくりがあるかもしれない。
私たち一人ひとりが本質を見抜く目を持つことが大切である」と、分かりやすく、興味深い講演となりました。
講演会後には、市民アクションを代表し、3・13広島北集会でも特別報告をおこなった坂本 裕さん(医療生協理事長)が、「安佐地域に9条の碑を建立しよう」と熱意を込めて訴えました。会場は大きな拍手に包まれ、9条の碑を通して恒久的に平和を訴えていきたいという参加者の思いがつながった集会となったと感じました。