広島民商学習会第5弾として、8月26日に「介護保険」について学習し、オンラインも含め31名が参加しました。講師には「介護保障を求める広島の会」「広島市社会保障推進協議会」の代表委員の大畠順一さんをお招きしました。
介護保険制度とは
介護保険制度は、高齢化や核家族化の進行などを背景に、介護を社会全体で支えることを目的として平成12年に創設されました。現在では、約690万人の方が要介護・要支援認定を受けています。
介護保険の対象者
介護保険の対象は40歳以上となっています。加齢によって生じる介護状態に対応する制度という考えに基づいて年齢により条件が区分されています。
★40歳から64歳までの方
国が定める特定疾病(脳梗塞、脳出血などの脳血管障害、関節リウマチ、若年性認知症など)が原因で介護が必要になった場合にのみ利用できます。交通事故など、特定疾病以外の原因では利用できません。
★65歳以上の方
原因を問わず(交通事故なども含む)、介護が必要な状態になれば介護保険サービスを利用できます。
介護が必要になった際の相談先
★地域包括支援センター
広島市では中学校区に1箇所設置されており、最初に相談する場所として推奨されます。
★病院の医療ソーシャルワーカー
ベッド数100床以上の比較的大きな病院に常駐しています。介護保険の申請手続きや、転院先、介護施設の情報提供や助言を行います。
利用のための手続き
介護保険サービスを利用するには、
①要介護認定の申請
②主治医意見書
③市の職員による認定調査
④認定審査会での審査
を経て、約1カ月後に要介護度の認定結果が通知されます。
介護の必要度に応じて7段階に区分されます。
認定結果に納得できない場合、不服審査請求を行うか、再度認定調査(再申請)を受けることができます。再申請の方が手続きが早く進む傾向です。再申請の際は、日頃の困りごとや現状を正確に伝えることが重要です。
利用できる主な介護サービス
ケアマネージャーが作成するケアプラン(介護サービス利用計画)に沿って、在宅サービス、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)などが利用できます。要介護度によって利用できるサービスが異なります。また、手すりの設置や段差の解消など住宅改修費用も介護保険で一部賄えます。
介護施設の種類(主な4種類)
★特別養護老人ホーム(特養):比較的費用が安価な介護施設。
★介護老人保健施設:リハビリテーションを通じて在宅 復帰を目指す施設。
★介護医療院:医療的ケアが必要な方が入所する 施設。
★認知症グループホーム:認知症の方々が少人数で共同生活 を送る共同住居。
その他、費用が高めの有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などもあります。
費用負担
自己負担割合は原則1割負担ですが、所得に応じて2割または3割負担となる場合があります。利用者の約8割は1割負担です。
介護保険制度の現状と今後の課題
現在の介護保険制度は、様々な課題を抱えています。
2024年には全国で784件の介護事業所が倒産・廃業しており、過去10年間で大幅に増加しています。これは、国が定める介護報酬の引き下げが大きな原因の一つです。
また、介護職の平均賃金の低さ(一般職より7万円低い)から介護人材の不足も問題となっています。
その上、政府は私たちにとって「三大改悪案」とも言える改悪を実施しようとしています。
それが「①ケアマネージャー費用の有料化」「②自己負担割合2割対象者の拡大」「③要介護1・2のサービスを国の制度から自治体事業へ移行」の3つです。
こうした改悪は、現在でも倒産が多い介護の現場を「崩壊」に追い込むと懸念されています。
現在、社会保障推進協議会などでは、国の予算を軍事費よりも福祉に回し、介護サービスの拡充・介護従事者の処遇改善を求める署名活動も行っています。
皆さんも是非署名にご協力下さい。



