税務調査対策学習会

権利を知って学び、毅然とした対応が最重要
9月9日に三次まちづくりセンターにて、石立広島民商事務局長を講師に『税務調査対策学習会」を開催し、25名が参加しました。

税務調査の最新動向と対策のポイント
①コロナ禍で一時的に減少していた税務調査ですが、国税庁の方針により、コロナ以前の水準に戻すことが至上命題となっていて件数が増加しています。近年はAIが一次的に調査対象者を選定します。
売上の大幅な変動、同業者との比率の大きな違い、高額な資産の取得といった「異常ケース」を見つけ出して、そのあとに調査官が選別をします。

②税務調査は本来、任意調査が大原則です。国税庁が示している『税務運営方針』では納税者の理解と協力を得て税務調査を進めるとあり、強制ではありません。ですが調査官は調査中に『質問応答記録書』を作成しようとします。最初に「本日、健康状態に異常は無いか」といった質問が含まれ、健康な状態で自発的に答えたかのように見せかける意図があります。さらに納税者にとって不利な内容が誘導的に記載されることもあり、一度署名すると後から覆すことが困難になります。質問応答記録書はいわゆる『自白書』なので税金裁判の時に活用され、重加算税を課すことや青色取り消し、7年間の遡及、消費税仕入れ税額控除の否認などが容易になります。「絶対に書きません」と明確に拒否する権利がありますので安易に署名、押印しないようにすることを知っておきましょう。

不当な事例
この間で起きている事例としては、帳簿がまったくできていない納税者に対し、極めて厳格な帳簿の記載要件を求め、約3000件もの経費否認をし、さらに消費税の仕入税額控除も認められず高額な追徴課税が課されました。本来は納税者の事業利益に即した税金を支払うべきという原則を超え、通常では考えられない過度な要求であり、「不当な推計課税」であると考えられます。
また電子帳簿保存法が施行されたのを口実に、「義務だからパソコン内を見せろ、ダウンロードをさせろ」と言うケースもあります。
電子帳簿保尊法はあくまで保存が義務化されたのであって、任意調査の場合は見せる見せないは納税者の判断になります。
 
税務調査に対処するには
やはり日々の記帳が税務調査になったときに武器になります。そもそも記帳は税務調査のためにするものではなく、自社の経営のためにするものです。
資金繰りや補助金等申請も帳面が無いとまったくできません。きちんと売上を把握し計上すれば痛いところを突かれることはないということです。
権利を学ぶことも大事です。税務調査はあくまで任意で、「10の心得」を覚えておくことが必要です。
また一人では税務知識に乏しい納税者は対応が難しく心細くなるものですが、民商の行事に参加すれば仲間ができて、立会の時応援にきます。
調査経験者からは「みんなが助けに来てくれたから心強かった。一人だったらなすがままだった」との声もあるが事実です。

参加者からは「もっともっと権利に対して知りたいので学習会を開いてほしい」
「税務調査の対策ができているかというと不安。対策を講じていきたい」
「このような不当な調査があるとは知らなかった。民商じゃなきゃ知りえない情報でためになった」
などの感想が寄せられ、アンケートでは多くの納税者が対策が不安と感じている面も明らかになりました。今後の民商運動に参加しようという機運になった学習会でした。