法人部会総会を開催税務調査の動向と対策を学習

記帳・保存が最大の防衛策
福山民商法人部は21日、法人部総会と合わせて税務調査学習会を開催し、12名が参加しました。広島民商の石立事務局長を講師に、税務調査の動向と対策について学びました。

石立事務局長は、調査件数が増加していることを報告。対象の選定が「運任せ」ではなく、データに基づき論理的に行われている点を指摘しました。
国税総合管理(KSK)システムが全国の申告データを一元管理し、調査対象をリストアップしています。

調査対象は?
選定するポイントは、
①昨年度と比較して特定の勘定科目が突出して増減している、
②同業他社と比較して特定の経費率が異常に高い、
③税理士が関与していない、
④売上が1000万円近辺の事業者、
⑤長期間(5年〜7年)調査を受けていない、
などの傾向を解説しました。「日々の記帳」と「資料の保存」です。
これができていれば、調査で問題となる点の大部分は防ぐことができると強調しました。
キャッシュレス決済は、明細の保存だけでは消費税の「仕入税額控除」の要件を満たさず、調査で否認されるリスクがあることから、必ず請求書や領収書、レシートの保存が必要であることなど、具体的な記帳作業を説明しました。税務調査の多くは任意調査であり、納税者の理解と協力のもとに進めることが前提であるとし、
①都合が悪いときは日時の変更ができる(事前通知なしに署員が来た場合でも、その場で調査に応じる義務はない)、
②帳簿等の資料の持ち帰り、PCデータ閲覧・取得は強制ではない、
③調査時に作成する質問応答記録書は事実上、納税者に不利な内容をまとめた「自白調書」であり、作成自体は任意で断ることができる、

ことなどを挙げ、万が一調査の通知が来た場合、過度に恐れず、納税者の権利を学習し、民商と一緒に調査に臨むことが重要だと締めくくりました。
学習会後の総会では、藤本事務局長が「この30年で自分で会計ソフトに入力できる会員が15%から87%に前進した」と自主記帳の取り組みを報告しました。

続いて、自主記帳だけでなく、給与計算、労務管理、法人登記などに関する学習会を開催すること、会員どうしの相互交流を深める取り組みや法人部費について提案され、参加者の多数により承認されました。