知らなきゃ損する!? 助成金活用術

広島民商の今年度学習会第4弾として8月28日(水)、社会保険労務士の田原聡史氏を講師に招き、助成金の学習会を開催しました。オンラインを含めて29名が参加し、助成金の種類や実際に申請した事例などを見ながら学習していきました。

補助金と助成金の違いは?
補助金は経営の売上向上が目的で、従業員の有無は問いません。ただ、審査があるため申請しても受給できるのは30%~50%程度となっています。
助成金は従業員の働く環境向上が目的で、その財源は雇用保険。従業員のいる事業所で、要件を満たせばほぼ100%支給されます。申請代行は社会保険労務士の独占業務となっており、今回はおすすめの助成金とその活用例を教えていただきました。

おすすめの助成金
★キャリアアップ助成金
正社員化コース
パートや契約社員を正社員へ転換することで申請できる。入社当初は見習い期間とし、慣れてから正社員にする。能力が上がってきたので正社員にしたい人がいるなどのタイミングで活用しやすい。

賃金改定コース
パート従業員の賃金を一斉にアップ(3%以上)した場合に申請できる。 10月の最低賃金の引き上げで賃金を上げる必要がある場合は、前倒しで9月から引き上げても対象となるので上手に活用しましょう(今年も10月から下のように最低賃金が上がります)


★65歳超雇用推進助成金
入社して5年未満の50歳以上の有期契約の方を無期契約に転換することで申請できる。

★働き方改革推進支援助成金
設備導入等により、時間短縮・業務量削減など業務の効率化を図る事で設備購入費用の内最大80%を助成(上限あり)。
活用例として、建設業でミニリフトを購入し人員・作業日数を短縮、食品製造業で油ろ過機を購入し、パン粉除去作業時間が大幅に短縮などが紹介されました。

★業務改善助成金
その事業独自に必要な機械等の設備導入での業務の効率化を図る場合に購入費用を最大75%助成(上限あり)。時給1020円(10月からは1070円)以下の従業員がいる事が条件。賃金を上げる人数によって上限は変わります。活用例として業務用の冷蔵庫、食品製造用の機器、業務用冷凍車、キャッシュレスシステム、券売機の導入などが紹介されました。

いずれの助成金も就業規則や雇用契約書、出退勤管理等の適正な労務管理が必要です。
出勤簿がカレンダーに丸しただけ、残業代を込みで給与を払っていたつもりなど管理不十分な場合は、未払残業代で思わぬトラブルに発展するケースもあります。
2024年問題で建設業や運送業の残業規制が強化された問題にも触れ、これまでと何が変わったのかも学習。建設業も運送業も原則、残業は月45時間、年360時間という規制が新たに始まりました(業種ごとに特例有)。規制内での残業であれば土日に働いても残業しても問題ありませんが、毎年36協定届を労働基準監督署に提出する必要があります。
雇用契約書、就業規則などを整備して適正な労務管理をしておく事で、雇用条件や残業代など従業員とのトラブルを防ぐことになると話されていました。
助成金は条件を満たせばほぼ100%支給され、返還不要です。
従業員を雇う前や、雇用形態の見直し、設備投資のタイミングなどで対象となる助成金がないか確認してみましょう。日々の労務管理や助成金等ご相談がある方は事務局にお知らせください。社労士の紹介も可能です。