インボイス制度は延期・中止を!中国5県民商 国税局と交渉

11月4日(金)9名の参加で中国五県の民商県連合同で国税局交渉を行いました。ここ2年はコロナ禍で県境をまたぐ移動を自粛したため、広島県が主体での交渉となっていましたが、今回は島根、鳥取、山口からも参加がありました。
交渉は事前に申し入れた内容(左記参照)を回答する形で行われ、国税局からは総務部総務課の梅田課長補佐ら3名が対応しました。
今年の交渉事項のメインは、来年令和5年10月に迫ってきた「インボイス制度」。国税庁への登録者数は約120万件(令和4年9月末現在)と全く進んでいません。今年、広島県連が行った営業動向調査でも、約半数が「わからない」と回答しています。この制度は、実質税率変更を伴わない増税策と言え、免税事業者が新たに納税するか、課税事業者が肩代わりして負担をするか、消費者へ物価として跳ね返るか、いずれかで新たな負担が生じます。
本則課税事業者は、免税業者との取引を別途に区分記帳し、番号が正しいかどうかの点検も行わなければならない等、大幅な事務負担がのしかかります。
交渉では、こうした事業者への悪影響を訴え、制度の延期・中止・撤回などを求めました。
梅田課長補佐は「インボイスの周知が十分でないことは認識している」としながら、国税庁としてリーフレットやポスター、HPの特設サイト、各税務署での説明会開催、企業・団体主催の説明会への講師派遣など、周知のために工夫していると主張。 制度そのものについては「インボイスの目的は複数税率制度の下で、売手側と仕入側の適用税率の認識を一致させること。6年間の経過措置を設けることで円滑な導入を目指している」「インボイスを理由にした取引の見直しは、場合によっては独禁法、下請法、建設業法に違反する可能性もあるので関係省庁とも連携して相談してほしい」「価格については今後免税事業者との取引は仕入税額控除できなくなることから、消費税相当額については互いに齟齬の無いよう確認してほしい」と回答しました 
ただ、制度の導入延期や中止、撤回については「国税庁はあくまでも執行機関であり、要請内容は上級官庁にも伝えるが、税制にコメントすることは難しい」と従来の枠組み通りの回答でした。
交渉団からは「導入まで1年を切った今の状況で本当に混乱の無いよう結果を出せると考えているのか」「前段階控除という消費税の仕組みを覆すもの。法的な問題は解決しているのか」「大混乱が予想される。このままでは適正な執行ができないと執行機関として意見すべきではないか」「現場職員にもしっかりヒアリングして意見を上げるべき」など批判と意見が噴出しました。
その他の時効については、税務調査や納付相談等については、法令に従い適正に執行していると答えました。
しかし、交渉団からは、無予告調査や一方的な反面調査についても事例をあげ追及。情報公開で開示された記録に立会人の発言が「民商の者らのヤジ」などと記載されていることなど改善と指導を求めました。
最後に、四郎田宗則副会長から「現在の異常円安と物価高で私たち中小事業者は塗炭の苦しみにある。インボイスの導入はこうした事業者に廃業を迫るもの。必ず延期・中止をしてほしい」と力強く訴え交渉を終えました。
私たちの要求を実現するためには、こうした中小業者の生の実態や声を引き続き国へ知らせていく必要性を感じる交渉となりました。

申し入れ内容(要旨)
1.インボイス制度の周知不足は明白、大きな混乱を招くインボイス制度の導入は延期してください。
2.インボイス制度の導入は、免税事業者の取引排除につながります。導入は撤回してください。
3.インボイス制度の導入により、膨大な事務負担を強いることになります。インボイス制度の導入は撤回してください。
4.税が累積しない消費税仕組みを覆すインボイス制度の導入は撤回してください。
5.プライバシー侵害が大きな問題となります。インボイス制度の導入は撤回してください。
6.長期化する新型コロナウイルス、異常な物価高騰の影響で多くの事業者は疲弊しています。不要不急な税務調査はもちろんの事、徴収による臨場、呼び出しなどは厳に慎むようにして  ください。
7.事前通知は「原則行う」ことと規定されています。今一度徹底してください。また、「反面調査は、客観的に見てやむを得ないと認められる場合に限って行うこととする」精神を厳守してください。
8.いまだ長期化するコロナ禍の情勢に鑑み、引き続き納税者の実態に耳を傾け、納付困難な納税者の相談に真摯に対応するようにしてください。
9.当局として納税者同士が行う税務相談に干渉や介入はもちろん、不当な弾圧は行わないでください。
10.すべての税務職員が憲法順守を貫き、税務運営方針を守ることを徹底してください。